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大與大與
大與

ダイヨ大與呼吸するようにゆらぐ、
暮らしに優しく
溶け込む灯。

滋賀県高島市で100年以上にわたり和ろうそくをつくり続ける、大與。櫨や米ぬかなど天然植物蝋を用い、職人が一本一本手仕事で仕上げています。伝統に培われた技術と、現代の暮らしに寄り添う機能美が調和した、あなたに寄り添う灯です。

STORY

なぜ、現代の家の中に「灯」を迎え入れたいのか100年先へ美しいあかりを繋ぐ、滋賀県の和ろうそく工房を訪ねて

少し早く起きた朝、コーヒーの香りが漂う傍らで。
あるいは一日の終わり、ゆったりと湯船に身をあずける静かな時間に。

静かにゆれる灯(ひ)は、自然と向き合い、自分自身と向き合うきっかけを私たちに与えてくれます。

滋賀県高島市で4代にわたり和ろうそくを作り続ける「大與(だいよ)」。
その店主である大西さん自身も、そんな日々のさりげない瞬間に、そっと和ろうそくを灯しています。

作り手であり、和ろうそくという道具を上手に暮らしへ取り入れている達人でもある彼の手から生まれる美しい道具は、どのような環境と哲学のなかで育まれているのでしょうか。
現代の暮らしにろうそくの灯がもたらすものはなんなのか。和ろうそく製造の背景を探るため、私たちは工房を訪ねました。

大輿の大西 巧(さとし)さん
大輿の大西 巧(さとし)さん

日々の余白に寄り添い、呼吸するようにゆらぐ灯

大與の和ろうそくの特徴は、油煙(ゆえん)* が少なく、香りもほとんど無いこと。そして静かに呼吸するように灯がゆれて、蝋垂れもせず最後まで綺麗に燃え切ることです。
だからこそ、コーヒーの香りを楽しむ朝や、リラックスしたい夜のバスタイムなど、暮らしのあらゆるシーンに優しく溶け込みます。
*空気中に浮遊する微粒子や煤(すす)のこと

「『蝋垂れせず、油煙が抑えられ、灯が静かに安定していること』。親父は、この3要素こそが良質な灯の絶対条件だと定義していました」と、大西さん。先代(大西さんのお父様・明弘さん)は「良い灯」の条件としてこの3つを守り抜くことを大切にしてきたそうです。

最後まできれいに燃える、蝋垂れを防ぐ緻密な計算

静かで安定した灯の秘密は、和ろうそく特有の「芯」にありました。洋ろうそくの芯が糸で作られているのに対し、和ろうそくでは和紙を棒状に巻き、その周りにい草(灯芯草)を巻きつけたものを用います。芯の中が空洞になっていることで、下から空気を取り込みながら燃焼するため、風のない室内でもまるで呼吸をするように灯がゆらぐのだそうです。

筒状の和紙にい草(灯芯草)を巻きつけた、和ろうそくの「芯」
筒状の和紙にい草(灯芯草)を巻きつけた、和ろうそくの「芯」

蝋垂れを防ぐために特に大切なのは、芯と周りの蝋とのバランスです。

和ろうそくの芯に火を灯すと、周囲の蝋が溶けて液状になり、それを芯が吸い上げていくことで、灯が持続して燃え続けます。もし、芯の太さに対して蝋を多くつけすぎてしまえば、芯が蝋を吸いきれなくなり、だらだらと液垂れを起こしてしまいます。
和ろうそくの種類や大きさに応じて、異なる芯が使われているのはそのためです。

「親父の理想を形にするには、芯の太さと蝋の分量のバランスを極限まで突き詰める必要がありました」と大西さんは振り返ります。

和ろうそくの芯に合わせ、つける蝋の量を調整している
和ろうそくの芯に合わせ、つける蝋の量を調整している
溶かされた粘り気のある蝋を手ですくい、芯に塗り重ねていく「手掛け」の工程。芯を回転させながら、均一の太さに仕上げていく
溶かされた粘り気のある蝋を手ですくい、芯に塗り重ねていく「手掛け」の工程。芯を回転させながら、均一の太さに仕上げていく

素材の特性を活かし、「最も美しく燃える状態」を引き出す。蝋を無駄にこぼすことなく、最後まできれいに燃え尽きる。そのミニマルで美しい佇まいは、長年受け継がれてきた職人の技術と経験によって支えられた「機能美」の結晶でした。

十分に冷えたら串を外し、長さを整え、頭部(灯がともる部分)を切り出し、芯をつくります。
十分に冷えたら串を外し、長さを整え、頭部(灯がともる部分)を切り出し、芯をつくります。
和ろうそくの色付けするため、色素が混ざった蝋をまわし掛ける様子
和ろうそくの色付けするため、色素が混ざった蝋をまわし掛ける様子

一般的なキャンドルとの違いを生み出した父の決断

芯の違いに加えて、もう一つの大きな違いは「素材」にありました。

一般的なキャンドルには石油由来の素材(パラフィン)が多く使われているのに対して、大與では今も、国産・天然の植物蝋100%にこだわって和ろうそくづくりを続けています。純植物性だからこそ、大與の和ろうそくには油煙も、嫌な香りもありません。

石油由来の安価なパラフィンワックスが普及した高度経済成長期、多くの業者が大量生産へと舵を切りました。見た目には分からないようにしつつ、和ろうそくにパラフィンを30%ほど混ぜて大幅なコストカットを図る例もあったそうです。

しかし、先代が貫いたのは、実直な信念でした。 「『正直なろうそくというか、嘘をつかない、一番きれいに燃えるろうそくを作りたいんや』と親父は話していました」と大西さんは語ります。
当時、周囲から反対されても「これであかんかったら、ろうそく屋をやめる」と覚悟を決め、混ぜものなしの純粋な和ろうそくを作り続けました。目先の効率よりも、植物由来だからこそ実現できる灯の美しさと機能性を守り抜くこと。その妥協のない決断が、今日まで愛され続ける確かな機能美の土台となっているのです。

「良い灯」とは、100年先につながるものであること

2026年に新登場した、MORPHE シリーズ
2026年に新登場した、MORPHE シリーズ

先代が定義した「良い灯」を前提とし、これからも美しい灯をともし続けるために大切にしていることを尋ねると、大西さんは次なる100年を見据えた3つの指針を語ってくださいました。

「第一に、『100%植物性であること』。再生可能資源である櫨(はぜ)や米ぬかなどの天然植物蝋を使用したものづくりに重きを置いています。次に、『国産の原料にこだわり、生産者の素顔が見えること』。不当な搾取のない、誠実な素材選びを貫きたい。そして最後は、『国内での製造を続けること』。他者に委ねるのではなく、自らの手で技術を磨き、次なる世代へと確実に継承していく姿勢を大切にしています」

デジタルの時代だからこそ、灯と共に暮らす

家の中に火を持ち込むことはリスク(恐れ)を伴いますが、先人たちはそれを許容する精神性を持って火と付き合ってきました。大西さんは、古代中国の五行思想において、「火」が陰と陽の2つの要素、「丙(ひのえ=自然のままの手に負えない火)」と「丁(ひのと=人が手を加え安全に家に入れられる火)」に分類されていることに着目。安全に家に入れられる「丁」を「火」の横に置くと「灯」という字になることに気づき、 そこに自然と人間が共生するための先人たちの知恵と精神性を見出して、深く心を震わせたといいます。
この発見が、大西さんにとって100年後もろうそくを作り続ける意味と確信につながり、妥協のないものづくりを続ける背景にもなっています。

科学技術が極限まで発展し、画面を見る時間が増えた現代。私たちは日常から「火」という存在を遠ざけてきました。

「火は上にしかあがらない。倒してしまうことよりも、ろうそく(火)の上になにかある方がよっぽど恐ろしい 。火にふれるころで、自然の摂理を知り、自ずと正しく使うことができる」と大西さん。
「火は上にしかあがらない。倒してしまうことよりも、ろうそく(火)の上になにかある方がよっぽど恐ろしい 。火にふれるころで、自然の摂理を知り、自ずと正しく使うことができる」と大西さん。

大西さんは「いつの時代も、一方向に振れれば必ずそのカウンター(揺り戻し)が出てくるんです」と語ります。和ろうそくはまさに、デジタルのカウンターとして「人と自然が共にあること」を意識させてくれる大切な道具なのかもしれません。

自然の中で楽しむ焚き火やキャンプファイヤーといった「外の炎」が気持ちを高揚させるものだとしたら、家の中の和ろうそくという「内の灯」は、自然への畏れを持ちながらも、静かに向き合うためのものです。それは決して何も考えなくて良いものではなく、自分自身を灯に投影し、「自分で考える時」に灯すためのものだと大西さんは言います。

ただ便利に消費されるのではなく、確かな技術と実直な哲学のもとで作られた和ろうそく。その背景を知ることで、手元で静かに呼吸する小さな灯りは、より一層愛着の湧く存在になるはずです。

間接照明と合わせて空間を演出しても、メディテーションや瞑想にも。自分と向き合うための光としても、誰かと語り合う大切な時間の媒介としても。和ろうそくの灯は、使う人の暮らしや自由な文脈に合わせて、心地よく変化してくれます。

あなたもぜひ、日々の余白の時間に、この自由で美しい灯を家の中へ迎え入れてみませんか。

作り手情報

大與 企業名:有限会社 大與
所在地:滋賀県高島市今津町住吉2-5-8
創業:大正3年(1914年)
公式HP:
https://warousokudaiyo.com/

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